第六話 山グマイ
いぜな島の北西側に ウフヤマ(大野山)とい 
不思議な風がゆれる場所があるんだ

ここは 子宝に恵まれない女の人が 山グマイ(山ごもり)という
行事をするところ

いうなればね 子どもが生まれるように
ウガン(お祈り)する場所なんだよ

山に入る時はねぇ 女の人はかならずカミンチュ(神に仕える人)といっしょに行く

山に入ったら もう三日間は出ることができない

それからね 男の人は絶対に入って行っちゃいけないことになっておるね

そこで なにをするかというと

女の人が心をこめてウガンした後は 男の宝物と女の宝物の両方を近くの川で洗い清めるんだ

それから 女の人のふところに男の宝物をだかせるわけさぁ

そして 「子どもをください」といってウガンするんだね

そしたら その月からか その翌年からか 
必ず子宝に恵まれるというよ

その男の宝物と女の宝物はね どこにかくしてあるかというとね

それは だれも知らん

ただ カミンチュは知ってるさぁね やっぱり…

その宝物は マーニー(ヤシ)の根っこの方に 壺をおいてあって
そのなかに隠してあるらしい

だけど その壺は 毎年毎年おかれている場所が違うというんださあ
もちろん ウフヤマのなかにあるのは確かなんだけどね

まぁ それはとにかく カミンチュしか知らないことなんだよね

これが いぜなのジッチャク(勢理客)の「山グマイ」のはなし
                           おわり またね

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