神様のおはなし
沖縄本島の北西に浮かぶ このいぜな島
小ちゃい島だけど神さまがいたるところに住んでいる
そう 島の住人と神さまはいつも一緒に暮らしているのさ
みんなウマチー(お祭り)や御願(お祈り)をして
神さまとおはなしするんだね
                うすく村拝
第一話 神さま物語
ンカシ ンカシ ナァーフィン(もっと)ンカシ
このいぜな島にはたくさんの神さまたちがいらっしゃてね

この島の山や海に住んでいたというはなしなんだ

たとえばね 島の東にチョコンとうかんでいる小さな島があるんだ

小さいわりには力強い岩肌をねみせててね
高さのあまりない三角形という感じの島
そうなんだ そこはその名のとおり「降神島」(ウルガミジマ)

いぜな島にはいろんな神さまの伝説があるんけど
この降神島(ウルガミジマ)は神さま物語の始まりの島ってわけさぁ

それから神さまはどうしたって?

まぁ しばらくそこでお休みあそばれて
そのつぎは島の南にある「アハラ御嶽」(ウタキ)に
ふわりと舞いあがったというよ

そう ここはむかし神さまがおりてきたという 伝説の島だよ

なるほど 天空から神さまがおりてくるような雰囲気があるよね

御嶽(ウタキ)というのはね 神さまにお祈りをする聖域なんだけど
神さまの家でもあるんだ

だからといって ものものしいたてものがあるというわけでもないいんだ

ただ ウコール(香炉)なんかがそっとおかれてあるぐらいなんだ
人びとにとってはこころのやすまる大切な場所なのさ

アハラ御嶽(ウタキ)はね それはそれは美しい大海原が見渡せる山なんだ
アギギタラ「陸立岩」(りくたちいわ)と
ウミギタラ「海立岩」(うみたちいわ)をしたがえて
城山(グスクヤマテ)を手もとにおき 
まるで神さまの庭みたいにおもえてくるってわけさぁ

やや細長い尾根をつくる アハラ御嶽(ウタキ)はね
なるほど神さまがねころんだり くつろいだり
というのがピッタシ その形に出てるんだ

とにかく そこで神さまは生活をしてたってわけだね

それから「アハラ御嶽」(ウタキ)の名前だけど
アハラはアルカイという意味なんだね

そこに神さまがやってきたので この世がアカルくなったというわけ

まぁひととおり アハラ御嶽(ウタキ)の生活を楽しんだあと
島のほぼテンブス(真ん中)にある山 
すなわち天城(アマグスク)に行ったといわれてるね

天城(アマグスク)は見晴らしのよい山でねぇ
美しい草花が年じゅう咲き乱れているんだねぇ

神さまもそんな美しい山で ひと息ついたわけだ

それから その天城(アマグスク)を後にして
今度はね となり島の※クシジ(いへや島)にあるクマヤ洞窟に
たてこもったという はなしさね

クマヤというのは いわば方言で コモル家 という意味だね

なにかとわけがあって 神さまはたてこもるのだけど
案の定 世の中は またまた暗くなってしもうたねぇ

世の中が暗くて暗くて どうしようもないもんだから

今度はね ほかの神さまたちが おもむろに動き出したというわけさぁね

七人のサムライならず 七人のカミサマがクマヤにこっもた 神さまを出すために
ひとりびとり いろんな方法で説得したんだね

ようやく神さまはクマヤから出てきてくれて 世の中も明るくなったというはなしさぁねぇ

はい とりあえず ウッサ(おしまい)

※いへや島をクンジ(後地)というのに対し、いぜな島をメージ(前地)という。


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